文:松浪健四郎(文部科学副大臣)
体大時代、全日本学生選手権優勝を経て、東ミシガン大学にスカウトされる。その後、NYアスレチッククラブ所属選手となり、全米レスリング優勝。専修大教授から1996年より衆議院議員。
日本サッカー協会川渕名誉会長の訪問を受ける松浪健四郎議員。
オバマ大統領の誕生は、日本政府にも大きな影響を与える。何よりも日本は共和党との関係が深く、今後はアメリカ新政府の中に人脈を築くことから始めなければならない。
私の知るかぎり、アメリカ人は友好的であるから、それほど心配したり苦労したりする必要はなかろう。むしろ、政策で衝突する可能性の心配のほうが大きい。まず、イスラエルとパレスチナ・ハマスの戦争に、アメリカ新政権がどんな手を打てるのだろうか。
アフガニスタン問題も心配だ。オバマ大統領は兵の増強を実践しようとしているが、これはアルカイーダやタリバーンの巣である部族自治区を攻撃することを意味する。この作戦は、オバマ大統領のアキレス腱になると私は踏む。部族自治区は、パキスタン領内にあるからである。アメリカは、パキスタン政府と対立する覚悟ができたのだろうか。
インドとの対立が定着しているパキスタン、政情不安定なパキスタンにあって、イスラム原理主義団体を肥大化させる怖れが浮上する。これら団体が、アルカイーダ、タリバーンと結びつけばどうなるか。まちがいなくアフガニスタンは混乱の度を増すだろう。
アメリカ政府は、中近東、東アジア政策で頭をかかえてきたのに、オバマ新政権でもつまづくと私は読む。その防止は、オバマ新政権がイランと国交を回復することだ。
ブッシュ前大統領の失敗は、イランと対立するだけで、関係修復に汗を流さなかったこと。福田前首相は、そのために骨を折ったけれど、アメリカは動かなかった。“核問題”だけにこだわった結果である。
核の不拡散は重要だが、国連が無力ゆえ、どんなにアメリカが頑張っても諸国は核開発に取り組む。北朝鮮をはじめ、イラン、シリアまでもが推進する有様、アメリカに発想の転換が求められよう。火力発電よりも原子力発電の時代に突入しているのだから。
科学の力を先進国だけが独占する時代ではなくなっているのに気づくべきだ。
オバマ新政権の前途は、決して明るくはない。国内問題だけにとどまらず、外交問題も山積している。日本から眺めていても、新大統領の苦悩の顔が伝わってくる。
日本との関係がどうなるのか。同盟国として信頼関係を再構築することができるのか。経済的に苦しむ両国が、相互の知恵を出し合う必要がある。オバマ新政権は、内外ともに難しい諸問題をかかえる。頑張って欲しい、私もエールを贈りたい。
