文:松浪健四郎(文部科学副大臣)
体大時代、全日本学生選手権優勝を経て、東ミシガン大学にスカウトされる。その後、NYアスレチッククラブ所属選手となり、全米レスリング優勝。専修大教授から1996年より衆議院議員。
クェートのシェーク・アハマド殿下が日体大の名誉学位授与式に出席した様子。
『Yes,We can』。オバマ候補の当選は、日本人にまで衝撃を与えた。政策による衝撃ではない。「黒人大統領の出現」に驚いたと決めつけてよい。やはり、アメリカ人の思考、行動は日本人の理解の外だ。
人種差別なるものが当然存在すると日本人はアメリカ社会を決めつけていたフシがある。パウエル元国防長官、ライス国務長官等の出現は、あくまでも能力によるものと思われた。が、黒人が大統領の座に就くとは想像しなかった。
このことは、日本人自身が差別意識を強くもっていることを物語ろう。選挙の最後には、白人たちが結束し、マケイン候補が勝利する、そんな予想が日本人間に横たわってもいた。が、それは、つまらない幻想でしかなかった。
アメリカ社会は、本当に“変革”を求めていたにちがいない。その象徴が黒人のオバマ氏の登場ではなかったか。イラクやアフガニスタンでの犠牲者が、あまりにも多すぎたこともあったろう。いや、あの9・11をアメリカ人は忘れつつあるようにも映った。厭戦気分が、国際テロリスト集団に負けてしまったとしたなら、イラクやアフガニスタンで共に戦う諸国の人々に失礼であろう。
そこで、有権者の投票行動を分析してみる。白人はマケイン氏を約6割支持。黒人はオバマ氏を約9割5分も支持したという。他の人種も約6割強がオバマ氏に投票したとされる。無党派の人たちは6ポイントも多くオバマ氏に投票した。これらの図式は、「反ブッシュ」を示しているかに見えようか。
人種の問題よりも現状の不満がオバマ氏を大統領に担ぎ上げた感じがする。金融不安を招来させた共和党政権、その印象が勝敗を分けたのかもしれない。
それにしても、オバマ大統領誕生で日本とアメリカの関係はどうなるのか、気がかりである。どちらかといえば、日本政府は共和党内の人脈にたよっていたから、急いで民主党内にも人脈をもつ必要性にかられている。
大統領選挙の分析をしていて気づいたことだが、アメリカ人は経済にしても、医療保険、エネルギー政策等、重要な案件に対して、みごとに自信を失っている感じだ。オバマ大勝利の背景には、アメリカ人の自信喪失があると決めつけてよいと私は思っている。
同盟国の日本は、どんな形でアメリカに貢献できるか、しっかりしないといけない。民主主義の王様アメリカ、病んだアメリカを世界に宣伝する大統領選挙だったと私は総括する。
