文:松浪健四郎(文部科学副大臣)
体大時代、全日本学生選手権優勝を経て、東ミシガン大学にスカウトされる。その後、NYアスレチッククラブ所属選手となり、全米レスリング優勝。専修大教授から1996年より衆議院議員。
地球深部探査船を視察している様子。
あまり大きく報道されないが、東京都の石原慎太郎知事は、東京でのオリンピック開催に本気である。1964年に開催されたが、2016年を狙っている。実に52年ぶりだ。
当時、日本は敗戦から立ち直り、発展途上国から先進国への仲間入りをはたそうとしていた。そこで空前の公共事業が行なわれ、景気をさらに後押しした。私は高校3年生だった。
それでも政府には金がなかった。そこで、政府は世界銀行から大借金をする。まず、東京・大阪間の新幹線、東名・名神の高速道路、東京都内の環状高速道路といった超大型の事業完成をオリンピックのためにした。
で、その返済は、平成2年に30年をかけて終了したのである。日本が高度成長を遂げ、世界の先進国への仲間入りした結果だった。私たちは、その成長期に多感な青春時代を送った。日増しに道路は車であふれ、「公害」なるものが社会を暗いものにした。
だが、日本の発展は、東京オリンピックが起爆剤となったのも事実であろう。だからこそ、世界中の都市がオリンピック招致活動に執念を燃やすのだ。1988年名古屋が敗れたにとどまらず、2008年大阪が敗れた。いや、ニューヨークだって2度目の開催に敗れたし、パリだって敗れたのだ。
東京の強敵は、シカゴであるともいわれる。初めての開催であるにくわえ、1984年のロスアンジェルス以来、アメリカで開催されていないからだ。32年ぶりを狙っているという。
他に東京のライバルはマドリード、リオデジャネイロ、ドーハ等があがっているが、アメリカ開催の可能性も高い。現在では、イラク問題、アフガニスタンの国際テロ問題が横たわるため、おそらく、人気がないと決めつけられている。けれども、もし、アメリカ軍が撤退するとなると、シカゴがクローズアップされるにちがいない。
オリンピックが『平和の祭典』であるがゆえ、軍隊を海外に派遣しているとなると、IOC委員の理解は得がたいと読むべきだと思う。開催を決定する2009年のIOC総会までが勝負である。その意味では、現状のままが東京の有利と映るが、劇的な逆転もあろう。
オリンピックの形態も変化している。敏感にその実情を読み、未来を先取りするオリンピックでなければならないのはいうまでもない。日本の科学力も問われるともとれようか。 大丈夫だ、その点は。問題は、東京都民間に招致の盛り上がりがないこと。それが心配だ。
