文:松浪健四郎(文部科学副大臣)
体大時代、全日本学生選手権優勝を経て、東ミシガン大学にスカウトされる。その後、NYアスレチッククラブ所属選手となり、全米レスリング優勝。専修大教授から1996年より衆議院議員。
アフガニスタン元国王ザヒール・シャー国父の葬儀に日本政府特派大使として参列出席した様子。
都市の「近代化」は、まず人間の嫌う臭いを消失させることから始まる。それは衛生観念とも結びつく。下水道施設や屎尿処理場の建設は、都市化すればするほど重要となろう。
次に危険な物を市民の眼に晒させないように工夫する。ガス管や電線を地下に埋設し、事故を最小限に食い止める。これは美しい街づくりに通じる。
これらのモデルは、ニューヨークのマンハッタンにあった。都市計画の研究者たちは、マンハッタンに住み、都市の「近代化」を学んだ。近代の誇るべき都市が、マンハッタンなのである。
古代都市の研究ならば、インダス文明のハラッパーやモヘンジョダロに行かねばならない。あるいは、ローマの研究も大切であろうか。これらの遺跡は、私たちに「上下水道」の大切さを謳っている。水の供給と処理、この問題解決こそが第一だった。
しかし、人類は、燃料や電力の供給も不可欠となる。安全と美観のために、地下に埋設する発想をもって当然であったろう。
くわえて、より「近代化」された都市は、冷暖房を考える。マンハッタンは、なんと1882年から蒸気管によるシステムを開始。最も先進的なインフラであった。日本にあっては、冷暖房は各ビル単位で施設をもたねばならない現状からすれば、いかにマンハッタンが「近代化」された都市であるかが理解できようか。
米国にあっては、ニューヨークからボストン、シカゴ、フィラデルフィアといった都市が蒸気管を埋設、快適な冷暖房を日常のものとしたという。風土およびビルという建造物の発展が、蒸気管システムを産んだのである。
地下3m前後に蒸気管を埋設、マンハッタンだけでも実に170キロに及ぶ。高熱の蒸気が最高時速120キロのスピードでパイプを流れるらしい。国連本部ビルやエンパイアステートビルなどをはじめ、約2000のビルに冷暖房を供給するという。
想像以上のインフラではあるけれど、先日、ミッドタウンで蒸気管が爆発して、多数の死傷者を出した。事故原因は、蒸気管の老朽化だったと報じられた。マンハッタンの地下は、人体の毛細血管のごとく、網の目のようにあらゆる管が埋設されている。
世界の「近代化」された都市ではあるが、老朽化対策はとられていなかったのである。
人も歳を重ねると衰退、老化する。都市のインフラ施設も同様であると教えられた。
