文:松浪健四郎(文部科学副大臣)
体大時代、全日本学生選手権優勝を経て、東ミシガン大学にスカウトされる。その後、NYアスレチッククラブ所属選手となり、全米レスリング優勝。専修大教授から1996年より衆議院議員。
米軍はイラクから完全撤退すべきである。
毎月100名の米兵が、イラクで尊い命を落としている現実は、共和党の敗戦を招来させた印象をうけるからだ。米国民の意志は「撤退」と読むべきだと思う。
私がミシガンに留学していた頃、まさにベトナム戦争が真只中だった。単位取得のままならなかった学生たちは、次々とベトナムに派遣された。私のチームメイトも送り込まれたことも忘れない。自由主義、民主主義と闘う米国を尊敬しつつ、戦争の残酷さを悲しんだ。同時に、米国家の本質を理解した。
週に一度、ROTCの授業を選択していた私は、米国人の国家観や国防意識を学んだ。 米軍がイラクから撤退すれば、イラクは想像できぬくらい混乱する。が、イラク政府は強権的な姿勢で反政府勢力と向き合い、やがて落ちつく。ただ、相当な数の犠牲者が出ることを覚悟せねばならない。そのことをブッシュ政権が案じているのだ。
米軍撤退後、イラクの内戦、内乱をどの程度のものであるかを予想できぬばかりか、隣国イランの出方も予想できぬところにブッシュ政権の苦しみがある。宗派対立の深刻さはイラクに住む人でしか解し得ないものだ。
外国軍という存在は、異国では大胆な作戦を選択できないのは、その国民を敵にまわして反勢力にしたくないという常識がはたらくからである。で、反イラク政府勢力が生きのびる。このジレンマに陥る米軍は悩み続ける。
米国民が、選挙によって「撤退」を支持したのだから、この民意を重視すべきであるかもしれない。大統領からすれば、苦渋の決定となろうが、ここでは米兵の命を護る政策を優先した方がいいのかも知れない。
そのかわり、米政府の国際指導力は著しく低下する。同時に国際的信頼も薄らぐ。
米国民は“国際テロ”の恐怖を忘れつつあり、反ブッシュの態度を明確にしたと私は理解した。国連が頼りにならぬ機関であって、米軍の主導的役割こそが世界平和を維持してきたが、米軍はその舞台から下りる・・・。
アフガニスタンの米軍は、NATO軍とともに「アル・カイーダ」の掃討作戦を展開している。苛酷な風土下で、正義と平和のために駐留して戦う米軍の評価を米国民はどのように下すのだろうか。これも「撤退」なのか。
9.11の最高指導者であったオサマ・ビンラーディンをいまだ逮捕できず、国際テロを撲滅できない現在、米政府の責任はどうなるのか。米国の中間選挙は、同盟国である日本にいろんなことを示唆された。
核実験を実施した北朝鮮、核問題でロシアや中国を引き込むイラン。いずれも反米勢力だ。米・民主党は、今後、どんな政策を私どもに提示するのか、興味深い。
日本は、安全保障問題で北朝鮮、石油輸入や開発でイランと深く関わっている。民主党の勝利は、日本国民を少し心配させたと記しておく。私は、強い米国を支持する者だ。
