
文:ミスターM
笑いの観点から社会を正す謎の男
夜の街は謎を秘めています。人間の持つ理性は暗闇に塗り潰され、眩いネオンの明かりが性や暴力といった人間の野蛮な欲望に火をつけるのです。
先日ちょいとメモリースティックを買いに街の電器店に行ったんですが、全く買う気もない新作ゲームのデモ画面を指をくわえて見入ったり、これまた買う気のないマッサージチェアで全身揉みしだいたりの大ハシャギを決め込んでおりました。「ご自由にお使いください」って書いてあるのをいいことに肩もみボタンと肩叩きボタンを同時押ししたり、手元でリクライニング機能のついた背もたれを起こす操作をしつつも背中に全体重をかけて起こすまいと抗ったり、マッサージチェアから変な煙が出てもおかしくないほど本当に自由に使ってやったんです。
そんなこんなで日も暮れてまいりまして「すっかり遅くなっちゃった」なんて言いながら家路へと向かったのですが、途中で九州一の歓楽地、狂気と混沌の渦巻く危険地帯である中洲の街を通らなければならないのです。PCの周辺機器を買いに行った帰りは周辺危機だね。と最高のギャグを考えながらエロい格好のネーチャンや獣の眼をしたオジサンたちの波を掻き分け進んでいると、サングラスをかけ、隆々とした筋肉を革ジャンで覆った全身黒ずくめの男性に出くわしました。
恐らく日本人だと思われるのですがまるでターミネーターに出てくるような、っていうかターミネーターにしか出てこないような出で立ちのカルフォルニア州知事っぽい人が夜の街を彷徨いているんです。この男なら五千円ポッキリ! とか言いながら歩み寄ってくる呼び込みの店員の腕をポッキリ折ってしまいかねないんですが、なんとその州知事みたいな危険な男が私に話しかけてくるんですよ。
ダダンダンダダン! というお馴染みのBGMが聞こえてきそうな展開です。これは人類の将来を担う存在である私を抹殺するために未来から送られてきた悪のサイボーグと見て間違いないでしょう。
自分自身のため、そして全人類のためメモリースティックを武器に闘うことを決意した私に対して州知事は「すみません。メイドカフェ○○は何処ですか?」と一言。いやいや、ターミネーターじゃなかったんですか! そして大勢の中から私を選んで訊ねるなんてまるで私がメイドカフェに精通したキモヲタみたいじゃないですか! いい加減にしてほしいもんです。憤慨しながら「そこの角を右です」と教えてあげました。
荒くれ者の風貌でメイドカフェに行くとは大いなる謎ですが、そんなことよりなぜ私をキモヲタ扱いしたのか、そしてなぜ私が場所をサラリと答えることができたのか、べ、べ、別に私がメイド萌えなキモヲタなわけないじゃないですか! か、か、勘違いしないでよね! やはり夜の街は謎を秘めているようです。


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