
文:ミスターM
笑いの観点から社会を正す謎の男
トリノ・オリンピックが遂に開催されましたね。その模様はメディアで連日扱われており、普段はウインタースポーツなんてあまり興味がない私も思わずテレビに見入ってしまっていますが、そのなかで一つ気になることがあります。
今回のオリンピックとの接点がほぼ0であろうと思われるバラエティータレントが何故か五輪特番に出演しており、気の利いたコメントのひとつすら出来ないにも関わらずキャスターなんてやってるんですね。まぁ確かに生粋のウインタースポーツ職人や頑ななオリンピックマニアばかりが出演する初心者お断り級のコアな特番を組んでも一般の人は理解できないので、入り口が広く誰もが楽しめる番組にするためにはスポーツ素人であるタレントの抜擢も致し方ないと思うのです。しかし問題はそこではありません。警戒すべきはこのようなスポーツ祭典期間中におけるメディアに感化されて続々と繁殖する即席スポーツフリークたちなのです。
先日のことなんですが、知人が日本の予想獲得メダル数やオリンピックのその他の見所について自説をこれ見よがしに展開していたところ、私は激しいデジャブに襲われました。
「そのハナシどっかで聞いたような、、、そうだ!昨日のテレビコメンテーターが言ってたことに似ている!というより丸パクリだ!」
・・・いやね。自信満々で熱弁を奮っている相手にパクリだと指摘しようものなら一気にその場の空気が凍り付いて、それこそ冬季オリンピック会場みたいな状況になるわけじゃないですか。ノリノリなトコに水を差すのも悪いですから、こういった似非ファンや、なんちゃって知識人たちに適当に相槌をうったり、ソレッぽくリアクションしたりなど色々と気を遣わなければならないわけですよ。五輪が終わっても今年はワールドカップが控えてますからサッカーの知識をひけらかす元野球部員みたいな得体の知れない未確認生物が私の前にいつ現れるとも知れないのです。
スポーツは感動や興奮を生むと同時に確実に人を狂わせます。ひたむきな選手たちのプロの技術と勝負に挑む懸命な姿勢は美しく、観る者を青春のドラマにいざないますが、その観る者の過ごした青春がちょっとアレだった場合が厄介です。持てる力の全てを注いで野球のテレビゲームに興じることが青春だったゲーマーがオタク的観点からプロ野球の日本シリーズを語るとなるとゲーマーっぽく各選手の特性や能力を数値化する手の施しようのない事態となります。スポーツ選手と自らの青春とを重ね合わせるのは結構ですが、重ね方を間違えた結果の俄かファンの台頭は「正直、アイタタ」であり、社会の害悪だと思うのです。
ところで、私も中学から高校にかけては輝かしい青春時代を過ごしてきたんですよ。栄光の帰宅部エースとして放課後は一生懸命、帰宅に明け暮れていましたからね。ホームルームでの「みなさん、さようなら」の挨拶では「みなさん、さよ」くらいで既にスタートを切っているという期待の活躍っぷりです。
まぁ、私の帰宅に懸ける青春だって語りだせばキリがないほど伝説を持っているわけで、アスファルトの道路が青色ということで凶暴な人喰いザメがウヨウヨしている危険な海に見立て、学校から家までの帰路を海に落ちず(青いアスファルト舗装部分を踏まず)して無事に生きて辿れるかという冒険の旅に出たこともありました。
白線が敷かれた横断歩道はさしずめ吊り橋です。所々の線が消えかかってたりすると、忽ち冒険モノによくあるロープの切れそうな吊り橋へと変換されるわけで、こうなると自然とインディージョーンズのテーマを口ずさむことも必然です。
行く手を阻むトラップをジャンプで避け、あるいは冒険者の研ぎ澄まされたカンを活かしたルート変更によって見事に危険をかいくぐるのです。如何にしても、対岸に渡れない場合は息を止めていれば海中もセーフという当初の人喰いザメが生息している設定を完全にムシした後付けルールを適用したりなど予想を覆しすぎな大冒険です。
この他にも、なんか怖そうなヤンキーが屯しているコンビニの前を早歩きで横切ったり、近くを通りかかると必ず吠えてくるヨソの家の犬に戦いを挑むという充実の部活動生活を送ってきました。さらに驚くべきことに帰宅部の部員は数多くいるものの、以上のような活動は全てたった1人でこなしてきたというあたり、もう私は不動のエースの座を欲しいままにしています。
とまぁ、このように長々と書き連ねてきましたが、要するに私の言いたいことは「間違えた青春は偽スポーツファンよりも痛い」ということです。そんなわけで私はトリノ・オリンピックについて多くは語りませんが、いつか開催されるかもしれないイエニ・カエリンピックでは誰よりも熱く語り、いやむしろ参加してメダルを狙うくらいの意気込みで頑張ります。
ガンバレ!ニッポン!
ガンバレ!ミスターM!


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