「踊るで、しかし」は、毎月第3木曜日にニューヨークで発行される読者参加型のフリーペーパーです
2001年9月の創刊から10〜40代に絶大な人気を誇るお笑い系フリーペーパーとしてNY在住日本人に認知されています。
ライター陣は政治家、お笑い芸人から構成作家までと幅広く、イラスト入り「NY人間図鑑」はNY日本人社会を反映させていると大人気。
毎月開催するクラブイベント情報も掲載中です。

主な登場人物
矢間下 珍司…大阪府出身。大学生。サッカーと料理無しの人生なんて有り得ないと豪語
獅子戸 貝子…東京都出身。ダンサー。珍司の彼女。大のチーズとマヨネーズ好きで、得意料理は中華丼。
末岡 衆図…東京都出身。ミュージシャン。貝子の幼馴染みでもあり珍司の親友でもある。
達味 琢子…福岡県出身。ダンサー。アネゴ肌で貝子の良き相談相手料理は苦手だが、結構グルメ通
ドッディ…珍司の遊び友達でイタリア・ローマ出身のオットコトコ前君。

アートなお寿司・お刺身を味わえる「sui」


大きな「水」の字が目印

営業時間
月〜金 12:00PM~3:00PM (ランチ)
月〜木 5:00PM~11:30PM(ディーナー)
金曜 5:00PM~12:00PM(bar close 1:30)
土曜 4:00PM~12:00PM(bar close 1:30)
日曜 1:00PM~10:00PM
54 Spring Street, N.Y.C
(Bet. Lafayette st & Motto st)
Tel: 212 965 9838


 このデザートも中山さんの自慢の一品。レシピが NYTimesに載った事もあるのだ。甘さ控えめの、フルーツならフルーツの味を最大限に生かしたデザートが、美しい盛り付けで出される。

ここで普通の人はお腹いっぱいのはずなのだが、無類のデザート好き、貝子はもう一品、デザートを注文。琢子の勧めで 富士リンゴの春巻き を選んだ。

「あら、電話。珍司だわ。」
珍司は、仕事が終わって『 Sui』に向かっているらしい。貝子は珍司のためにいくつかアペタイザーをお願いした。
「珍司も忙しいシーズンね。旅行会社でしょう?」
「そう。でも単純だから、美味しいものを食べさせれば、たちまち元気になるわよ。」
結構いいかげんな貝子である。そこへ、春巻きが運ばれてきた。食べると、リンゴとシナモンの香りが口いっぱいに広がる。ソースを絡めることによってリンゴの甘酸っぱさに一味ひねりが効き、美味しさが倍増。ピーナッツと生クリームで出来ている“ナッツソース”がリンゴと相性バッチリなのだ。貝子は“美味しい”を連発しながらあっという間に完食した。 「ほんと、いい食べっぷりね。惚れ惚れするわ。」
「何よ、人を珍獣みたいに。」
「ある意味、貝子は珍獣使いの方だね。」
「おー、お揃いで。どないや。」
そこに、珍獣の登場である。
「あー、疲れたわ。けどま、うまいもん食えばこんな疲れはイチコロや!」
それを聞いて、貝子が琢子に目配せする。
「ほらね?」


タルタルソースのサンプラー $15


かつおと大根のラビオリ $14
爆笑する二人を怪訝な顔で見ている珍司の前に、中山さんが出してくれたのは タルタルサンプラー と かつおと大根のラビオリ だった。 「お、なんや、洒落てますな。盛り付け方がそこいらの和食屋とは違うな。これは・・・?」 スパイシーツナ、サーモン、はまち、トロで、はまちにはハラペーニョが入ってます。サーモンはコチジャン入りで、青リンゴのピューレがかかってます。」
「で、乗ってるのはキャビアに、トリュフ、と。和食の新しい形やな。一見、奇抜なようやけど、魚の美味しさをちゃんと生かしてるんや。」
「ねぇねぇ、ラビオリ、味見していい?」
「えっ、貝子、まだ食べるの?」
「いいじゃない。美味しいものっていくらでも入るもん。」
貝子の手はすでにお皿に伸びている。
「大根のしゃきしゃきとかつおが合う~。それにこの味。私大好き。醤油とバルサミコ酢ね。」
美味しそうに食べる貝子に釣られ、琢子も結局箸をつける。
「ほんと、日本人の味覚にバッチリね。」
「おいおい、それは俺のお つまみ ( ・・・ ) ちゃうんかい。おまえらは、刺身の ツマ ( ・・ ) としてだな、大人しく・・・」
その途端、女性陣から冷たい視線が発せられる。
「・・・大人しくするのは俺やな、・・・あかん、今日はかなわん・・。」

サーモンのセビッチェと平目のセビッチェ 各$7
珍司は大人しく サーモンのセビッチェ と 平目のセビッチェ を注文した。 Suiの人気メニューである。 「へぇ、二種類、それぞれの魚の味が生かされるように、微妙に味付けが違うんやな。」
「サーモンは、梨、白醤油、それとゆずポン酢。平目はグリルした赤ピーマンとポン酢です。」
「フルーツがいろんな所に入ってますね。」
「ええ。フルーツと海鮮って合うんですよ。」
「そうなんですね。考えたことはなかったけど、今日の料理で納得しました。」
珍司は箸を置くと、ゆっくりと周りを見渡した。
「しっかしこの店、落ち着いてていいなぁ。大人の雰囲気や。おっ、あれは何や。でっかい魚、食べてるで。」
見ると、確かに大きな魚が丸々、お皿の上に乗っている。
「うまそうやなぁ。中山さん、アントレは大体いくらなんですか?」
「そうですね。ディナーで20?から30?です。ランチだと10?から15?ですよ。」
まずは目で、それから舌で楽しむという2倍の楽しみがあるお店。
しかも人を連れて行くと、その人から感謝される特典付き。事実、“素敵なお店を教えてくれてありがとう”と琢子にお礼を言った貝子は、次の日から他の友達に感謝される側にまわったのだった 。


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