
文:ひろや
「同じ失敗は繰り返さない」をモットーにしているにも関わらず、ニワトリ並みの記憶力で都合の悪い事はどんどん忘れていってしまう。進歩が無い人類世紀最後のダメン。
この言葉をご存じだろうか?「ビジンキョク・・・?」と読んでしまったやつは、すぐにでも辞書をひいて調べることをお勧めする。意味を知らずに漢字だけを見ていると、とても素敵な意味を持った言葉のように勘違いしてしまうだろうが、実はこの言葉、世の男性諸君にはとてもとても恐ろしい言葉なのである・・・。
俺が毎年勝手に作っている「いやし系」女王ランキングで、見事2000年度グランプリに輝いたA子から突然の呼び出しをうけ、俺は夜の渋谷へと向かう最終電車に乗り込む。夜中にわざわざ1時間かけて恋の相談を聞きに出向くのも、もちろん美しい男女の友情なんてもののためなんかではない。出不精な男を引っ張り出すのに必要なのは、「友情」なんて美しいモノではなく、「相談があるの❤」という可愛い女の一言と昔から相場は決まっている。彼氏の愚痴を聞きに行くのにウキウキと出掛ける俺はまさに下心の化身。実際、恋に傷ついた女ほど落としやすいモノはない。俺に相談をするなど、飢えたオオカミの前に羊を差し出すようなもの。バーゲンセール会場にいるおばちゃん並みのハングリー精神を持つ俺にとっては、まさに飛んで火にいる夏の虫。
渋谷に到着しA子と落ち合うと、ここぞとばかりに普段は足を運ぶこともないお洒落なバーに入り、飲んだこともない複雑怪奇な名前のカクテルをオーダーする。ビールとテキーラ以外を飲んだのは、何年ぶりのことだろう・・・。
最初はゆっくりとした口調で彼氏の愚痴を語り始めたA子だったが、ものの30分もしないうちに彼女の口の動きは加速を始め、ついには伝説のアナウンサー古舘伊知郎なみの饒舌に・・・。精一杯、感情がこもったように見える相槌をひたすら打ち続ける俺。頭の中では、ここからどのようにA子を持って帰るかしか考えていないのだが・・・。脳みその99%を使用してHな作戦を立案中でも、親切な相談相手をよそおうのには全く支障はない。恋の相談は、「ふーん。まじでー。それはひどいね。」というリアクションだけでやり過ごせてしまうものだから・・・。
よくしゃべるA子は喉の渇きを潤すために、どんどんグラスを空けていく。確かに、乾いた喉と心を潤すならアルコールが一番だ。A子が酩酊状態に入り、永遠に続くのではないかと思われたA子の猛攻(彼氏の愚痴)にもようやく陰りが見えたその一瞬の隙をついて、俺はカウンターパンチを放つ。それまでのディフェンスから打って変わって、ここぞとばかりに繰り出すワン・ツー。「俺ならそんなことしないのに。俺はA子の味方だよ。俺にしちゃいなよ・・・。」
弱ったA子の心のディフェンスラインは、A子の涙と共にもろくも崩れていく・・・。

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