「踊るで、しかし」は、毎月第3木曜日にニューヨークで発行される読者参加型のフリーペーパーです
2001年9月の創刊から10〜40代に絶大な人気を誇るお笑い系フリーペーパーとしてNY在住日本人に認知されています。
ライター陣は政治家、お笑い芸人から構成作家までと幅広く、イラスト入り「NY人間図鑑」はNY日本人社会を反映させていると大人気。
毎月開催するクラブイベント情報も掲載中です。

叩いてないのにホコリが出る、つついてないのにネタが飛び出す、無敵のダメン(駄目男)「ひろや」の、限りなくフィクションから遠いコラムだぜ!お前らの想像を絶するひろやの体験記は、ファーブル昆虫記にも負けず劣らずの感動巨編だぜ!学習能力の活性化を目指す彼と一緒に、お前らも学ぶのだ!転ばぬ先の杖だぜ!転んじまったら起き上がれ!

文:ひろや
「同じ失敗は繰り返さない」をモットーにしているにも関わらず、ニワトリ並みの記憶力で都合の悪い事はどんどん忘れていってしまう。進歩が無い人類世紀最後のダメン。

「ダメンの日本漫遊記(チャリンコ旅行編)」

夏休み」。子供達にとっては、「学級閉鎖」の次に魅力的な響きを持っている魔法の言葉。高校生になってもそれは変わらず、16歳の俺は夏休みを目前に胸をときめかせていた。どうせ普段から出席率10%の俺にとって、夏休みだろうがなんだろうが実際はあまり変わりのないことだったのだが、不思議なものだ・・・。

中学3年時から毎年、地元の悪友達と3人で行く自転車旅行。旅行と言っても、ただ自転車で2、3日、風任せの旅をするだけなのだが、これが面白いのだ。野宿をする羽目になることもあるが、時には旅先で知り合った人の家に泊めて貰えることもある。そんな無計画だが、暖かみのある旅は俺達にはピッタリあっていた。
1年目は湘南の海を目指して旅立ったものの、半分もいかないうちに挫折して急遽目的地を都内の遊園地(豊○園)に変更。お金のない俺たちは3時間かけて遊園地に忍び込み、プールで泳いで目的達成。自転車を捨てて電車で帰宅。
2年目は富士山を目指したのだが、5分の1も行かないところで挫折。近所の銭湯で、壁に書かれた富士山の絵を見て終了。なぜか、その銭湯で知り合ったおっちゃんにスナックに連れていってもらうことになり、酔っぱらって帰宅。   
毎回、全く目的を達成できていないが、何が起こるか分からないところが当時の俺には面白かったのだ。

3年目となる今回の目標は初心に返って「海で泳ぐ」に決定。一年目にプールまでしか辿り着けなかったので、そのリベンジというわけだ。
どこの海岸にするかはとりあえず当日のノリで決めることにして、後は出発の日を待つだけ。俺の悪友は本当にアホばかりなので、今回も楽しい旅になるに違いない!何をしでかしてくれるやら・・・。
そんな俺の期待に早速応えてくれる、さすがは我が親友!準備をして待ち合わせ場所に向かうと、そこには静かな住宅街にはおよそ似つかわしくない姿で俺を待つ同士の姿が・・・。
 海パン(もちろんブーメラン)一丁でゴーグル装着。そのまま泳げる格好で、颯爽とママチャリにまたがる二人!かっこいい・・・。裸で靴下を履いているのがちょっと不気味だが・・・。
 「ひろや、お前そんな装備で行くつもりかよ。俺たちは海に行くんだぞ!やる気あんのか!」との一言で、俺も急遽その場で海パン姿に。
海パン一丁に変身し、イルカ型の浮き輪と財布、ポケベルを袋にいれてチャリンコにまたがる。
 俺の愛車「カットビハヤブサ号」は物資の大量輸送に適した、前にも後ろにも荷台がついている大量輸送用の量産型!近所のジャスコにて特売9800円で購入した新型だ!真っ白なボディのこいつの自慢は、なんてったってベンツのエンブレム!俺が近所に停めてあった黒塗りのベンツから肝試しでへし折ってきたエンブレムを、前のカゴに接着剤で貼り付けてある。これで、こいつの見た目は30%増し。こいつに乗ってナンパに繰り出した日には、連いてこない女はいないだろう・・・。こいつの欠点を強いて言えば、エンブレムがあってもまだ、見た目がダサイことか・・・。

何はともあれ、目的地は自転車会議の結果、持病の痔が悪化のため今回の旅に参加できなかった友達に、万能薬として有名な、筑波山の「がまの油」を買って来てあげることにし茨城方面に決定。俺たちが唯一知っていた茨城の海岸、大洗海岸に向かってひたすら走る。
皆で爆風スランプのランナーを熱唱しながらひたすらこぐこと7時間。俺たちを見た沿道の人達の嘲笑にもめげず、ついに3回目の旅にして初めて目的地へと到達する。
眼前には広がる海!ギャル!ビキニ!
もちろんママチャリにまたがった海パン姿の俺達のひたむきな努力(ナンパ)は、茨城のどこかあか抜けないギャルが相手でさえ全く実は結ばず。結局、男3人、ギャルの代わりにイルカの浮き輪にまたがって海で戯れて終了。
その日は疲れたので、とりあえず寝床を探し、近所の民宿を何件か回る。数件目の民宿のおばさんが良い人で、朝の掃除をするかわりに無料で一泊泊めてもらえることに・・・。やはり田舎の人は心が温かい。
しかし、そこは恩を仇で返す俺たち「チームクズ」。掃除が面倒なので、日が昇ると同時にこっそり宿を出る。しかし、この悪行を神様は見逃さない。後でキツ~イお仕置きが待っていたのだが、そんな事は露知らず。

筑波山にて友達の痔の治療のために、打ち身、火傷、何にでも利く万能薬「がまの油」を無事に手に入れた俺たちは、全ての目的を達成して帰途へつく。日が落ちて暗くなってきた道を、行きと同じように騒ぎながら爆走する俺たちは、目的を達成した満足感で一杯だった。最初はダサイと思っていたのであまり好きではなかった俺の愛車「ハヤブサ号」にも、愛着が生まれてくる。
もう家まで残り少し、茨城と千葉の県境付近までたどり着いた俺たちは祝杯をあげようということになり、コンビニへ入る。持ってきた所持金の最後の110円で、コーラを買い、コンビニの前で乾杯!海パン一丁の俺たちはそのままコーラをかけ合って喜びを体一杯に表現する。まさに青春・・・。

ブオンブオン、ブオオオオン!

俺たちの青春の1ページに爆音と共に登場したのは田舎の名物、暴走族。夏なのに暑そうな特攻服をまとい5人ほど登場。最初は焦ったのだが、よく見るとどうみても彼らは中学生ぐらいにしか見えない。おそらくヤンチャな中学生の無免許運転だろう。
さすがに俺たちは高校2年。こんなガキにビビッていてもしょうがない。コーラかけを再開・・・、しようとしたのだが。

「おい、お前ら、何で海パンなんだよ!ケンカ売ってんだっぺ!!」
「海パン=ケンカを売っている」という方程式をどのようにして成立させたのかはわからないが、どうやらお気に召さなかったようだ・・・。特有の茨城弁でからんでくる。
しかし、海パン一丁の俺たちにも面子という物がある。田舎の中学生相手に引き下がるわけにはいかない。
「海パンで何が悪いんだよ!」
と俺が言った瞬間に、目の前は真っ白に・・・。瞬く間に中学生相手にボコボコにされてしまう俺たち。

1時間後、鼻血を出しながら必死の土下座で、なんとか解放された俺たちだったが・・・。命よりも大事な海パンは持って行かれてしまい、残された装備はゴーグルのみ。俺たちはもちろん、愛車のハヤブサ号もハンドルをギュット絞られ、族仕様のカマハンに。
そのまま全裸で顔を隠すためにゴーグルだけしてボロボロの自転車をこぐ俺たちの間に会話はなかった・・・。結局、友達のお土産にと購入した「がまの油」は、俺たちの傷の手当てに使われた・・・。

これをきっかけに次の年からは、自転車旅行ではなく電車になる。無銭乗車でどこまでいけるかを競う俺たち。しかし、やってみたら意外なほど順調にどこまでも行けてしまい、引っ込みが突かなくなり結局一ヶ月かけて日本一周を果たしてしまうのだが、それはまた別の機会に・・・。

 

今月の教訓  「因果応報」

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2007

2006

  • 「いつかのメリークリスマス」
  • 「ダメンの夏日記
    (NYビーチ編)」
  • 「サプライズ」
  • 「美人局」
  • 「YKK」
  • 「ダメンの諸国漫遊機
    (マイアミ編)」
  • 「ダメンの日本漫遊記
    (札幌ススキノ編)―後編―」
  • 「ダメンの日本漫遊記
    (札幌ススキノ編)―前編―」
  • 「ダメンの日本漫遊記
    (チャリンコ旅行編)」
  • 2005

  • 「お漏らし」
  • 「メジャーの壁」
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